ハリー・ポッターの国から

 先日、海の星高校のイギリスの姉妹校から短期留学にやってきたリアム君が、我が家に1週間のホームステイをしました。
 なにせ、高校時代には、英語の先生から「英語音痴の安田君!」と、必ず苦手そうなところを授業の度に御指名を受けていた私です。私も家内も子供たちも、ドキドキしながらその日を待っていたのですが、ダニエル・ラドクリフジェームズ・ディーンを足して2で割ったような上品な顔立ちのリアム君は、紳士の国の若者らしく、シャイで控え目でマナーも良く、うちの子供たちは滞在初日から、すっかりまるでいとこのお兄ちゃんが来たかのようなリラックスしたはしゃぎぶりでした。
 家内も、笑顔だけは万国共通語なのだと、妙に安心した様子で、2日目からは、英語と日本語の単語のカクテルと身振り手ぶりと都合のよい笑顔で、けっこう要領よく超ハードなリアム君の滞在中のスケジュールをサポートしていました。
 せっかく日本に来たのだからと、ネタが新鮮で本格的な回転ずしの「大船寿司」行ったのですが、体は180㎝を優に超えているとはいっても、まだ15歳の少年です。さすがに異文化の魚の生食はきつかったようで、「ランチ(家内のお手製ライスボール)が美味しかったので、おなかがいっぱいで」と気を使ったコメントを絞り出しながら、いなりずしと卵のにぎりだけを食べていました。
 リアム君の弟も石のコレクションに夢中だということで、お寿司での腹ごなしも兼ねて、イオンのストーンショップに出かけ、お気に入りの石をリアム君の弟のために購入しました。そして呉服店でお母さんへのお土産に赤いかんざしをプレゼントしました。
 
 あっという間の1週間でしたが、浜松駅でのお見送りの際には、私たち家族にも、こみ上げるものがありました。「Your English is very nice.」と別れ際に行ってくれた彼の言葉に、「英語音痴の安田君」と命名されてからちょうど30周年の節目に復権を果たしたような不思議な解放感を感じましたが、わざわざ15歳のリアム君にそんなことまで言わせるのは、やはり「英語音痴の安田君」に気を使ってくれたのかな?などと、やはり「英語音痴の安田君」は自問自答するのでした。

 あれ以来、家内も子供たちもすっかり英国かぶれになってしまい、「ハリー・ポッター]のDVDを全巻!来る日も来る日も飽きずに嬉々として見ています。
 私はといえば、やっとの思いでチケットを手に入れた日本シリーズ第1戦の敗北を直視してしまい、その後の中日ドラゴンズの敗北に打ちのめされ、ようやく普段の日常を取り戻しつつあるところです。