三寒四温


 三寒四温といいますが、日に日に春らしくなってきました。沢のほとりに愛車プリウスを停めて、細い崖沿いの道を、往診ケースを片手に春の心地よい空気に頬を撫でられながら登って行くと、いつもは遠くに見ている発電用の風車の群れを間近に見上げることになるのですが、春風を受けてゆったりと回っている姿は、いかにも心地よさそうです。
 スタッフ達が、安田クリニックを職場としてスタートしてからちょうど一年が経ちます。長くもあり、あっという間に過ぎたような気もする一年でした。
 大きな機材から、文具のような小物まで、いつも当たり前に在るはずのものをゼロから準備することは、かなりの労力を必要とするものです。いろいろと試行錯誤を共に経て、それぞれ、ひとりひとりが一回りもふた回りも大きくてかけがえのない存在になりました。
 地域の医者としての診療は、患者さんとの距離が、ぐっと縮まったことを実感するが多く、患者さんとの会話に、かえって私やスタッフ達のほうが元気をいただいています。わざわざ磐田市から検査に来てくださる患者さんもいらっしゃいます。本当に懐かしくて有り難く、自分の技術に慢心や油断の無いようにと、身が引き締まる思いになりました。
 しかし、まだまだ卵からかえった幼虫がようやくサナギになりかけた程度です。地域の皆さんのお役に立てる診療所になれるよう、スタッフ一同、より力を合わせて努力してまいります。