コシアブラ

 つい先日、探し求めていた春の味覚に、やっとのことで、めぐり逢いました。しかも突然に。その名も「コシアブラ」。知る人ぞ知る、「山菜の王様」です。
 この日も、事情に詳しそうな患者さんとの世間話の中で、やはり手に入れる方法を御存知ないということが分かり、今シーズンでのめぐり逢いを諦めようと、自分に言い聞かせていたところでした。
 往診の途中で、いつものように食堂「いっぷく坂」に立ち寄って、コーヒーをすすっていたところでした。
 「先生、コシアブラって、知らんラ?」
耳を疑いました!?
 たまたまお客さんがその日、コゴミやタラノメといっしょに持って来てくれたので、これから天ぷらにするところだというのです。

 一口噛んだ瞬間、爽やかな苦みと旨みが口の中に広がり、噛めば噛むほどほんのりとした甘みが旨みを深めていきます。
 私の感激ぶりに、いっぷく坂の志村さんが、カウンター越しに、私の姿を写真に撮ってくれました。