4周年、30周年の桜

 今日は休日当番医です。今年の桜は、ゆっくりと愛でる余裕もなく、通勤の沿道の鮮やかなカーテンのような桜並木に春を感じるしかないなと思っていました。
 昨日の夕、研究の御指導をいただいている鹿児島大学の丸山征郎教授が名古屋市で御講演をされたため、30年ぶりに鶴舞駅に降り立ちました。講演の会場である名古屋大学病院まで、鶴舞公園の満開の桜の中を歩きながら、予備校生時代に度々この公演に立ち寄ったことが懐かしく思い起こされました。
 丸山教授の御講演は、太古の生命の誕生から生命の淘汰の歴史をふまえて哲学者のような視点で医学をとらえて解説をしてくださいますので、何度拝聴しても、そのたびに新たな発見があります。講演のあと、丸山教授に、研究の成果が遅れていることにお詫びを申し上げたのですが、先生は、いつものようににっこりとはげましてくださいました。先生の微笑みに、医師になって20年以上経ってなお、胸を高鳴らせてこのような高尚な医学の真髄に触れる感動を味わう私の姿を、鶴舞駅で途中下車しては将来への不安を紛らわせていた若き日の私は想像していなかったはずです。満開の桜の下で楽しそうにお酒を酌み交わす人々、大道芸のパフォーマンスに見入る笑顔、笑顔、笑顔。
 正直、夜間の電話対応などで疲労困憊の状態だったのですが、今、この医師という仕事に日々取り組んでいられるこの疲労感こそが、若き日の自分がめざした充実感という名の幸せなのだと、鶴舞公園の桜がささやいてくれたような気がいたしました。
 講演会の後、ソムリエをしている従弟と合流し、名東区の「はなれ」という焼き肉屋さんにおじゃましました。
 カウンターの上で七輪の炭火で焼くものですから、絶品のお肉がさらにふくよかな味わいになり、至福の味わいでした。七輪の口径と同じ吸排気口がそれぞれの七輪に用意されていて、いっさい煙たい思いをすることがありません 冷麺はさっぱりと爽やかな上品な薄味なのに、しかもこくがあり、お肉の余韻を打ち消すことがなく、今夜の晩餐の幸せを結実させるのにふさわしい逸品でした。

 今日の当番医も、最後の患者さんの会計が終わったようです。これで開業して4周年が経ちました。気がつくと、当院の若い桜も、ほんの少しずつたくましくなったようです。

 いよいよ真価を問われる節目の5年目に突入します。
 中日ドラゴンズも今シーズンの初勝利をあげました。安田クリニックも日々がんばります。