新兵器

 ついこの間まで猛暑にあえいでいたと思ったら、もう師走も下旬となりました。開業して無我夢中だった昨年は、初体験のことが多すぎて、すごく時が経つのが長かったような気がしました。今年は往診に走りまわっている風景にいろいろな思い出が重なるので、本当にあっという間に師走に至ったような気がします。
 師走の澄みきった空に、富士山がくっきりと診療所の窓から拝むことができます。

 師走の乾いた風を受けて、先日御近所のSさんにいただいたお手製の一対の風見鶏が気持ちよさそうに羽ばたいています。開院してまだ1年8カ月、この風見鶏が「幸せの青い鳥」となって、閑古鳥退散の新兵器となってくれるのではないかと、眼を細めて眺めています。

 新兵器といえば、日本でたった100台、先行販売された、超小型エコー「V scan」を購入しました。

 ちょっと大きめの携帯電話のような風情です。見本品など全くない状況で、新聞報道をちらっと見ただけで思い切って発注したものですから、正直なところ、現品を見るまでは期待の中にも不安がないわけではなかったのですが、想像をはるかに超越していました。こんなにコンパクトで高性能な機械を、患者さんのベッドサイドで走査していると、まるでエンタープライズ号のドクター・マッコイか、宇宙戦艦ヤマト佐渡センセイにでもなったような気分になります。腹水穿刺などの処置が、安全性を損なわずに、ぐっと手軽にできるようになりました。在宅緩和医療の究極の兵器です