チームプレー

 先日、萩本欽一監督率いる茨城ゴールデンゴールズ中日ドラゴンズOBの親善試合が浜松市営球場で行われ、子供たちを連れて観戦してきました。


 田尾さん、宇野さん、平野さんなど、懐かしい顔ぶれが中日ドラゴンズのユニフォーム姿でプレーをする姿に胸が久しぶりに高鳴りました。思い返せば27年前、岡崎高校の先輩に当たる近藤貞夫監督が率いて奇跡の逆転優勝をはたした野武士軍団の面々です。当時、予備校に通っていた私は、予備校の授業をさぼって名古屋駅前の優勝パレードに声を枯らしながら夢中で手を振っていました。中日ドラゴンズの優勝に勇気づけられたおかげで、その冬の受験を突破し、いま医者をやっているようなものです。
 近藤監督といえば、星飛雄馬のモデルともなった、不撓不屈の投手人生を歩まれた方です。現在の、合理的な分業制の投手起用を確立させたアイデアマンであり、理論的な指導者であり、ダンディな物腰と裏腹に熱血漢でもあったそうです。チームワークとは、それぞれの役割分担をお互いがよく理解し、お互いの弱点やミスを進んでカバーしあうことに真髄があるような気がします。先発・中継ぎ・抑えといった投手起用の妙はもちろん、野武士軍団といわれ、打って打って打ちまくる恐竜打線ですが、
 ♪一番タァオが塁に出て〜、二番ヒラノが送りバントォ〜、三番モッカがタイムリィ〜、四番ヤザワがホーォムラン〜♪
 燃えよドラゴンズの歌詞にも歌われているように、それぞれに個性がはっきりしているからこそきちんとした役割分担が成立し、大きな力を発揮したわけです。いかに「良かれ」という「自分としては正しい」理屈があっても、周りの調和を乱す行動は、いわゆる「チームプレー」の対極的な結果をもたらす「スタンドプレー」に過ぎません。
 映画「レッドクリフ」で注目された三国時代の名軍師、諸葛孔明は、このスタンドプレーが軍の秩序を崩壊させることを防ぐため、功を焦って失敗した最愛の弟子である馬謖という若き武将を泣きながら処刑したという有名な故事を残しています。
 フェアプレーは、互いの思いやりによって支えられて力を発揮するものであり、これは、医療においても、医療だからこそなお重要です。
 欽ちゃんはさすがにエンターテナーで、即妙なマイクパフォーマンスで、観客を沸かせていました。このサービス精神こそが、チームプレーの根源なのだと、納得しました。
 いつも仕事が優先で、たまに早く帰れば中日ドラゴンズの野球中継に夢中になりがちなダメなパパで、正直いって子供たちは野球にいい感情を持っていなかったのですが、サービス精神旺盛な欽ちゃんと愉快な仲間たちのおかげで、野球選手になりたくなったようで、さっそくキャッチボールをせがまれるようになりました。
 子供たちとの距離がちょっと近くなったような気がします。