実りの秋


 晩秋の肌寒さを感じるこの頃となりました。
 診療所の待合室の窓のほとりの四季のフルーツのうち、みかんの木にかわいらしい実が、ういういしくもしっかりと色づき始めました。肌寒さの残る時期に開院の準備に追われていたと思ったら、あっという間に再び肌寒さの中で年末年始の準備もしなくてはならない時期になりました。
 みかんの皮を乾燥させると「陳皮(ちんぴ)」と呼ばれ、胃もたれ、のどの痛みや咳などに効くといわれ、漢方薬などの原料にも使われます。旬の味覚が、季節に応じた健康管理の役割の一端をになっていることに、これがただの偶然ではないということを実感します。人類が幾多の淘汰の危機に直面しながらも、しっかりと、こうした自然界の中にあって、ありとあらゆる調和的な進化のもとで育まれてきたのだと、みかんに教えられた気がいたします。
  
 いわゆる季節性インフルエンザワクチンの取り付け騒ぎのような1ヶ月間が経過し、ここ数日は幾分落ち着きをとりもどしたような感があります。遠方からお問い合わせをいただいたり、診療所を訪ねてきてくださったり、本当に有難うございました。せっかくお問い合わせをいただいたのに、いったんお断りを入れることになってしまったみなさまには、本当に申し訳ございませんでした。全てのみなさんにワクチンを接種させていただきたいのですが、あくまでも公平に、最大限の努力で今も取り組んでおります。なにとぞ、御理解たまわりますよう、お願い申し上げます。
 新型インフルエンザが猛威を振るっていますが、しっかりとせきエチケットと手洗いをしていただけば、普段どおりの生活が大きく乱されることはありませんので、とにかく冷静に、みんなで力を合わせて大流行を克服しましょう。