がんばれ小宮山大臣!

 台風の長雨がようやく去り、いきなり本格的な秋を迎えた感があります。それにつけても、震災・台風の被害の大きさを見ると、人命の大切さを痛感します。一人の命を救うのためには誠心誠意の努力が必要なのは言うまでもありません。しかし、多くの命が、あっという間に災害に飲み込まれていく現実に、街づくり・国づくりにも、人命優先の視点で私欲を捨てて、知恵と力を合わせていくことが大切だと教えられているような気がします。
 自然災害の中にも、さかのぼって検証を突き詰めていけば、被害を少なくできた反省点が、見つかることもあるでしょう。それを「人災」と呼ぶ余地はあるのかもしれません。それを教訓として生かすことは、それを糾弾する議論に時間を割くよりも重要です。今、危機・困難に直面している人を救済することは、もちろん最優先です。
 この秋のさわやかな空気のように、さわやかなドジョウくさい政治の新風が暗雲を一掃してくれるのではないかと、厚生労働大臣の記者会見で一瞬だけ胸が高鳴ったのですが、まだ暗雲の合間のわずかな晴れ間でしかないような現実に、いささかげんなりしています。
 つい先日、世界の最高権威の医学誌に、日本の医療制度が、日本人が驚異的に長寿を達成するほどの成果を上げてきたと、取り上げられたと聞きました。ただし、今後は、政治・財政の不安定さと、先進国中最も高い喫煙率によって、その成果を維持できなくなるだろうという内容と記憶しています。
 700円でも、まだ外国から見て安すぎるタバコに、「健康より税収」という議論が障壁となるとは…。
 喫煙による被害をいかに少なくするかという取り組みに、値上げだけが唯一の方法というわけではないでしょう。しかし、常に税収や、たばこ関連事業者の保護という理屈がからんでくるのですから、両立させる妙案としたら、やはり「タバコ税」の値上げという議論に行きつくのでしょう。
 「タバコ税」の増税が「オヤジ狩り」という勘違いを公言される方がいらっしゃいますが、本当の被害者は、健康・命を代償にして、なけなしのお小遣からも納税をしている「オヤジ」たちなのです。それに、日本は、女性の喫煙率が増え続けている先進国なのです。そして、真の被害者は、「喫煙天国」のぬるさを容認し続けている大人たちによって喫煙・受動喫煙の渦に巻き込まれている子供たちなのです。
 「他の先進国並みに」という名目が消費税を引き上げる正統な理由になるのなら、「タバコ税」はともかく、「他の先進国並みに」なった価格のタバコを購入する状況になって、はじめてタバコが「自己責任の嗜好としての選択」としてみられる余地が生まれるのではないでしょうか。
 喫煙により生じる健康被害は、喫煙をしなければ、大幅に軽減はできますが、確実に避けられるものではありません。日本の社会の現状では、受動喫煙の被害から逃れる決定的な手立てがないと言っても過言ではない状況が、まだ放置されているのです。これは、100%人災です。