プリウス「安田クリニック号」1万㎞を突破! ブレーキ快調!

プリウスが安田クリニックに納車されて8ヵ月が経とうとしています。ついに走行距離が1万㎞を突破しました!

 海辺の街から、対向車に殆どお目にかからないような山あいの往診先まで、本当によく走ってくれています。高速道路を使った往診も、山間部のワインディングロードもキビキビ走ってくれて、診療に疲れを持ち込みません。
 この1万㎞の道のりは、たかが1万㎞されど1万㎞はるか1万㎞の、たくさんの出会いと別れが凝縮された道筋です。
 往診におじゃました患者さんそれぞれの、世界でただ一筋の人生の道のりの集大成の時間を共有し見届けるための道筋を、この修悦体を身にまとった世界でたった一台のプリウスで走り抜けてきた1万㎞なのです。このプリウスだからこそ走ることのできた1万㎞のような気がします。
 そんな感慨に耽っていましたら、今朝、プリウスのブレーキについての問題が報道で提議されていました。
 低速で走行中に、ブレーキが突然抜けたように利かなくなって、追突事故を起こした事例があるというのです。
 早々と1万㎞を走破したこのタイミングで接したニュースに、いささかの驚きと戸惑いを感じております。
 タクシーなどの営業車両を除けば、我が修悦体の「安田クリニック」のプリウスは、現時点では最も走行距離を重ねた一般車両としてのプリウスといっても過言ではないだろうと自負しておりますが、そんなユーザーとしての体験を語らせていただきたいと思います。
 プリウスのブレーキシステムは、通常のガソリン車のエンジンブレーキと油圧ブレーキでの制動機構の他に、回生ブレーキという、減速によって放出されるエネルギーをバッテリーに電気として回収する、画期的な制動装置が存在して驚異的な燃費を実現させています。この回生ブレーキと油圧ブレーキの連携にタイムラグがあることを、プリウスを購入して間がない頃、車雑誌の記事で読んだことがあります。
 実は私自身も、交差点の一旦停止を意図せずに1メートル近く越えて停止した経験があります。その時は、「これが、あの現象なのだ!」と、一瞬で納得がいって、慌てずに必要なだけブレーキを踏み増しして、少しのオーバーランのみで、戸惑いなく止まりました。
 回生ブレーキは、エネルギーを有効に保護するのが第一の役割で、制動は二次的な役割なのだと理解すれば、軽くブレーキを踏む作業と、本格的に制動を行うためにブレーキを踏む行為とを意識して分けて運転する習慣が身に付いてしまえば、少なくとも安田クリニックのプリウスについては全く違和感も不安もありません。朝の渋滞も、人里離れた山道も、キビキビ走ってくれる、実に頼もしい相棒です。
 若かりし頃、ホンダCBR750スーパーエアロハリケーンを乗り回していたころ、当時の大型バイクにはABSなどなく、前輪と後輪のブレーキを自分でバランス配分を考え、感じ取りながら繊細にブレーキングしなければ、即転倒する危険を常に負っていました。
 ツインターボのマークⅡツアラーVのマニュアル車を運転していたころ、クラッチを踏んではシフトダウンを繰り返し、エンジンブレーキを有効に利かせて減速することを頻回に行いますが、クラッチを切った瞬間は、その都度エンジンのトルクが一瞬「抜けたよう」に駆動系と切り離されますから、ブレーキ操作も神経を研ぎ澄ます必要がありました。また、シフトダウンも、いきなり低いギアに入れると挙動が不安定になりますので、段階的にタイミングを合わせながら行わなければなりません。
 しかし、この操作を的確に行えば、マニュアル車エンジンブレーキは、車体を的確に安定した状態で減速させるのに役立ちます。むしろ、マニュアル車に乗っていたころは、たまにオートマチック車に乗ると、Dレンジのままブレーキ操作だけで減速すると、エンジンブレーキが甘い気がして不安になったものでした。
 最近は、プリウスの運転にすっかり馴染んでしまったものですから、我が家にあるガソリン車のファミリーカーを運転する時は、むしろ初期制動がきつく感じられて、ギクシャクしたブレーキングをしてしまい、子供たちにパパの運転は不評を買っています。
 つまり、この地域の1号車両を購入したユーザーとしての経験からは、マニュアル車に乗ってクラッチを踏まずにアクセルを踏んでもクルマは動かないように、駆動系・制御系のメカニズムが違う車種・車両には、それぞれの特性・くせがあり、それぞれに応じた操作をすることが基本なのだと思います。
 少なくともプリウスに関しては、品質管理の問題ととらえられようとしている感がありますが、ハイブリッドカーの先駆者であるからこそ生じている理解不足と誤解がかなり本質的にからんでいるような気がします。もちろん、爆発的な販売台数を短期間で実社会に投入したのですから、本当に不具合が発生した可能性もありますが、少なくとも、私の相棒に関しては、傾向と対策を認識して以来、ブレーキングに不具合を感じたことはありません。しかし、多くのユーザーがより満足できるような改善が図られるのであれば、それはさらに望ましいことですので、プリウスをはじめ、世界をリードする環境エコカーが、どんどん進化していくきっかけになればよいという気がします。
 そもそも、輸入車もいままでに何台か購入しましたが、輸入車通のユーザーは、フルモデルチェンジ直前の車両を好んで購入するといいます。新型をまず投入して、ユーザーの使用状況に合わせて改良を加えていくものだという認識で輸入車を購入するのが嫌ならば、国産車の新型を購入するか、モデル末期の輸入車にするのが、クルマ選びの一般ユーザーの間で知られている常識だったような気がします。私自身は、プリウスを購入して8カ月弱の間、まったく故障知らずの車に感服していた矢先のこの騒ぎに、自分がプリウスのユーザーでありながら、当事者であるようなないような違和感を覚えずにはいられません。