ラッキーバス

 
 修悦体の「安田クリニック」の看板を背中に背負った遠州鉄道のバスが1台、姫街道の路線を走っています。バスの背中を常々注目していますが、姫街道は、浜松駅を起点として浜松市の中心街から文教地区を貫いて郊外の工業地区や住宅街に至る複数のドル箱路線が共有するバス銀座のようなところですので、過去に2回しか見かけたことはありません。
 家内が、先週2日続けて見つけたと、眼をキラキラと輝かせていました。
 遠鉄バスの背中の特定の看板を目を皿のようにして探す人は、広告主ぐらいのものでしょうが、この広告を出してから一年弱の間に目撃したことが私と家内あわせて4回と、多からず少なからずの絶妙な確率が得られているため、バスの背中をワクワクして見るようになりました。
 二年前に体を壊して晩酌を止めるまでは、ヱビスビール芋焼酎を「命の水」と呼んで当直勤務以外は毎晩欠かしませんでした。鯛を二尾抱えてひときわ目尻を下げた「ラッキーヱビス」を、瓶をケースで注文していると、やはり数ヶ月に1ケースの割合で、しかも当たる時には、複数本が同じケースに入っていることがありました。別に、ラッキーヱビスを引き当てたからといって、おまけがもらえるような特典などはありませんが、なんとなく得したような、くすぐったくもちょっといいことが近々起こりそうな、そんな小さな幸せな気分を味わえます。
 そんな気分を「安田クリニック」のバスを見つけると、ひっそりと楽しんでいます。
 日中に私が「安田クリニック」のラッキーバスを見つけた場合の殆どは、まるでラッキーヱビスの背中の魚篭の中に二尾めの鯛が尾ひれでその存在感を主張しているかのように、やはり修悦体の「安田クリニック」のロゴマークをボディにデッカくあしらった、世界にたった一台のプリウスがバスの真後ろに続いて走っていますので、遠鉄バスの頭文字にあやかって、「ラッキー・eバス」とかってに命名して、今日も小さな幸せを占っています。