病院のトイレこそ気持ちよく。

 いよいよ開院のカウントダウンが始まりました。とにかく忙しい毎日です。なにせ、2〜3歩ほど歩きかけると誰かに呼び止められます。スタッフに指示を出し、また歩き出そうとすると、先程自分が何をしようとして、どこに向かおうかとしていたのかということが一瞬よく判らなくなって立ち止まり、立ち止まるとまた誰かに呼び止められるといった状況です。本当に勤務医時代より忙しい!
 体を壊して入院を経験してから1年が経ちました。この忙しさに、健康の有り難さを心底実感しています。体のコンディションがキチンとしているからこそ、忙しさに充実感を感じることが出来るのです。
 入院生活で一番つらかったのは、プライバシーが無防備な状態で医療のタイムテーブル優先の生活を毎日過ごすことでした。用便でさえ、自分の都合でするわけには出来ません。トイレへの移動が制限されている状態では、ベッド上で排尿するにしても他の患者さんが食事をしている最中に尿器(尿瓶)に放尿される音を聞かせるわけにはいきません。トイレ使用が許された後も、他の患者さんが待っているのではないかと気が気ではありません。他人の排泄の音を聞き、臭いを嗅ぐのは不快です。逆に、聞かれることや臭いを感じられることは、迷惑をかけているという自虐の念にさいなまれたり、辱めを受けている気になります。
 大腸の内視鏡検査をつらいという患者さんの中には、検査自体は苦痛ではなかったが、検査の準備段階の、いわゆる前処置での、下剤の服用と、排便がつらかったという方がけっこう多く、検査の普及の障壁になっています。
 自宅で下剤を服用し、排泄がひと段落してから来院していただき検査していただくことが出来れば、この問題はほぼ克服できます。ただし、ある程度の距離がある場合、病院へ向かう途中に便意を催すことがあり、慌てます。また、はじめての検査の方は。下剤の副作用の可能性がわずかといえども懸念され、やはり病院で下剤を服用する患者さんはいらっしゃるのです。
 以前、修悦体で書かれた「いちご」という室名札のついた部屋の写真をアップしましたが、不思議に感じられた方もいらっしゃったのではないでしょうか。
 「安田クリニック」には、大腸内視鏡の前処置のための4つのプライベートルームが存在します。「いちご」「ぶどう」「かき」「みかん」の、地場産の四季のフルーツの名前を修悦体で掲げたプライベート空間に、さらにドアつきのトイレをそれぞれに設置しました。専任の清掃スタッフが、必ず事前に清掃をして検査の患者さんをお待ちすることにしています。ゆったりとしたソファーベッドで自分のペースで下剤を飲み、防音のトイレで心置きなく排泄してください。
 家族や友人同士で連れ立って検査を予約する方もいらっしゃいます。そのような方たちには、吹き抜けのカウンセリング室で、談笑していただきながら下剤をゆっくりと飲んでいただくことも出来ます。
 どうか、「安田クリニック」では、御自宅以上にくつろいで検査前の時間を過ごしてください。今週末には、開院に先駆けて院内を見聞していただける内覧会をおこないます。「安田クリニック」自慢のピカピカのトイレを御覧いただきたいと思います。